避難器具ってどんなもの?種類ごとにご解説します。
2021年12月03日
避難器具と言っても、具体的にはどんな器具があるのかわかりづらいですよね。
今回はお見積書でもまとめて書かれがちな避難器具について
どんな種類があるのかを設置基準も交えて解説します。
そもそも避難器具って何?
避難器具は、その名の通り火災が起こった際、
逃げ遅れてしまった方が素早く避難するために使用する器具です。
例えばマンションなど高さのある建物の高い階層から避難する場合、
避難階段(非常階段)や避難通路ではどうしても伝達等も含めて
時間が掛かって逃げ遅れてしまったり、煙が充満してしまって
避難用通路や非常口が通れなくなってしまうこともあります。
このような状況となってしまった方のために、
消防法では避難器具に関しても設置基準を設けています。
避難器具の種類
避難器具は大きく分けて以下の8種類に分けられます。
1.避難はしご
2.緩降機(かんこうき)
3.救助袋
4.滑り台
5.避難用タラップ
6.避難橋
7.避難ロープ
8.すべり棒
中でも避難はしご、緩降機(かんこうき)、救助袋の3種類は特に多くの施設に設置されており、
見たことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
種類が多いので、設備の解説と設置基準は1種類ずつ解説いたします。
また、全避難器具共通の設置基準の内容は以下3点です。
①~③ 収容人員100人以下は1個、以降100人を超えるごとに1個増(第1号、第2号、第5号)
④ 収容人員200人以下は1個、以降200人を超えるごとに1個増(第3号)
⑤~⑥ 収容人員300人以下は1個、以降300人を超えるごとに1個増(第4号)
1.避難はしご
金属や樹脂などでできたはしご状の避難器具です。
固定、立てかけ式、吊り下げ式、ハッチ格納式等、様々な形があり、
吊り下げ式やハッチ格納式はコンパクトになるので、多くの施設で利用されています。
避難はしごの設置基準
避難はしごの設置基準を箇条書きにしますと以下になります。
・地上階(1階)と11階以上には設置不要
・地下階と2階以上には設置可能
・3階以上は令別表1の(6)項に規定された、病院等の防火対象物には設置できません。
※防火対象物とは令別表第1の(1)~(4)項、(5)項 イ、(6)項、
(9)項 イ、(16)項 イ、(16の2)項 、(16の3)項の建物のことです。
2.緩降機(かんこうき)
ロープ状の器具で調速機がついているため、自重でゆっくり降下避難することができる器具になっています。
複数人用と1人用がありますが、ほとんどが1人用です。
ロープ1本に身をまかせる形になるので、少し怖いかもしれませんが、
法令で一定の設置基準があり、見た目ほど危険はなく有事の際は頼りになります。
比較的小規模な建物で使用されていることが多いです。
緩降機の設置基準
緩降機の設置基準を箇条書きにしますと以下になります。
・地上階(1階)と11階以上には設置不要
・地下階には構造上の関係で設置不可
・法令上2階から10階、11階以上も全て設置可能です。
・6階以上は令別表1の(6)項に規定された、病院等の防火対象物には設置できません。
3.救助袋
法令には「垂直又は斜めに展張し、袋本体の内部を滑り降りるものをいう」と記載されています。
あらかじめ窓などに救助袋の枠を固定し、袋の内部を滑って避難する器具です。
垂直式と斜降式があり、垂直式は螺旋状に滑って避難ができ、
斜降式は直線の滑り台のようになっています。
使用するためにはそれなりに設置スペースが必要となるため、
学校などに設置されています。
救助袋の設置基準
救援袋の設置基準を箇条書きにしますと以下になります。
・地上階(1階)と11階以上には設置不要
・地下階には構造上の関係で設置不可
・2階以上は全ての防火対象物でも設置可能です。
4.滑り台
法令には「勾配のある直線状又はらせん状の固定された滑り面を滑り降りるものをいう」と記載されています。
直線状又はらせん状の鋼板などでできた台の上を滑り降りることで避難をする器具です。
救助袋のように、特別な操作が不要なため、
短時間で大人数の避難が可能で、病院等含め全ての防火対象物に設置できます。
滑り台の設置基準
滑り台の設置基準を箇条書きにしますと以下になります。
・地上階(1階)と11階以上には設置不要
・地下階には構造上の関係で設置不可
・2階以上は全ての防火対象物でも設置可能です。
5.避難用タラップ
法令には「階段状のもので、使用の際、手すりを用いるものをいう」と記載されています。
踏み板(蹴上は30cm以下、踏面は20cm以上と規定されている)と、手すりがある避難器具です。
手すりがあるので、避難はしごより安定して避難が行えますが、設置可能な場所が限られています。
避難用タラップの設置基準
避難用タラップの設置基準を箇条書きにしますと以下になります。
・地上階(1階)と11階以上には設置不要
・地下階、2階、3階に限り設置可能
・3階は令別表1の(6)項に規定された、病院等の防火対象物には設置できません
6.避難橋
法令には「建築物相互を連絡する橋状のものをいう」と記載されています。
屋上などから他の建物に避難するための橋状の避難器具です。
所有者や敷地が異なる場合は所有者の許可や高さが同じなど条件を整える必要があるため、
設置はしづらいようで、あまり設置されている建物は見かけません。
避難橋の設置基準
避難橋の設置基準を箇条書きにしますと以下になります。
・地上階(1階)と11階以上には設置不要
・地下階には構造上の関係で設置不可
・2階以上は全ての防火対象物でも設置可能です。
7.避難ロープ
法令には「上端部を固定しつりさげたロープを使用し降下するものをいう」と記載されています。
使用者の加減で急激な降下ができてしまうため、途中滑り止めの結び目があります。
他の避難器具に比べると使用が難しく、危険を伴うため設置可能な場所が限られています。
避難ロープの設置基準
避難ロープの設置基準を箇条書きにしますと以下になります。
・2階のみ設置可能
・令別表1の(6)項に規定された、病院等の防火対象物には設置できません
8.すべり棒
法令には「垂直に固定した棒を滑り降りるものをいう」と記載されています。
時々消防署などで時々見かける、遊具の登り棒のような避難器具です。
滑り降りる際にスピードが出やすく、危険を伴うため設置可能な場所が限られています。
すべり棒の設置基準
すべり棒の設置基準を箇条書きにしますと以下になります。
・2階のみ設置可能
・令別表1の(6)項に規定された、病院等の防火対象物には設置できません
出典:【ArchiLink】設計者が知っておくべき、避難器具の設置基準と緩和8つのポイント
避難器具についてのご相談は消防テックへご相談ください!
いかがでしたでしょうか。
避難器具は種類も8種類と多く、どれを設置すれば良いか迷ってしまうかと思います。
もし、どれを設置すれば良いかわからないなど、疑問点がございましたらお気軽にご相談ください!
弊社は地域によっては現地調査も無料でお伺いさせていただきますので、
消防設備や避難器具のことでお困りの方はお気軽にこちらからご相談ください。